感情豊かな働き者 人間好むリャマ

2020年01月10日

感情豊かな働き者 人間好むリャマ

llama1.jpg
Photo by - Peakpx - herd of llama in brown grass field
リャマはれっきとしたラクダの仲間。コブはありませんが、体内に栄養を蓄える術を心得ています。そしてラクダの例にもれず、リャマも家畜として非常に優秀。少々の飲食で労働力になってくれる、頼もしい友なのです。



家畜たり得る節約術

4,000万年前には北アメリカの平原で暮らしていたリャマ。300万年前まで時代が進むと、南アメリカにも進出を果たしました。残念ながら、北米のリャマは氷河期に絶滅してしまいましたが、南米ではなんとか生き残り、現代も野生のまま暮らしています。

厳しい環境変化を経験したおかげか、リャマは低コスト高パフォーマンスのからだを獲得しました。干し草の場合、体重の2%も食べれば暮らしていけます。200kgまで成長したリャマでも1日4kg。これが牧場で育てられる乳牛であれば、毎日15kgの干し草を食するのですから、パフォーマンスの良さが伝わるでしょう。

リャマはウシ同様、一度飲み込んだ草をまた口の中に戻し、咀嚼を繰り返します。反芻動物というヤツですね。低栄養・高繊維の植物から栄養を絞り出すには欠かせない行動です。とはいえリャマ、厳密には反芻動物へ数えることができません。反芻動物(ウシやヒツジ)は胃が4区画に分かれているのですが、リャマは3区画しかないのです。それゆえに“疑似”反芻などと呼ばれていますね。

ただ、3区画でも栄養を得るには問題ありません。十分な咀嚼を受けた草は胃の奥へ進んでいき、胃の中を行ったり来たりします。すると硬い繊維質が砕け、発酵がしやすくなるのです。腸もよく発達していますね。水、ミネラル、ビタミン。生きるために必要な成分を極限まで吸収できるため、他の動物より水不足に強くなりました。

なお、子育てにも厳冬対策を凝らしている様子。妊娠期間が350日と非常に長いことがまずひとつ。ちなみにヤギは150日、ウシは260日です。やはりリャマの妊娠期間は頭一つ抜けていますね。厳しい環境へ即対応できるよう、子供を限界まで成長させて産み落とす腹積もりなのでしょう。

反面、出産には30分もかかりません。これは低体温症の対策ですね。午前8時〜正午の温かい時間を選んで産み落とせば、寒さでからだの機能が鈍る心配がありません。生まれた瞬間に凍死、なんて悲しい結果を回避できるわけです。

子供が生まれてからも、リャマの節約術は光ります。リャマは1回につき60mlしか乳を生成しません。そのため子供は、何度も何度もお乳をもらう必要がでてきます。なんとも面倒なことですよね。ですが一度に大量の乳を与えてしまえば、水分を吸収しきれず、貴重な水分が尿として消費されてしまいます。子供にも節約を覚えさせるためにも、面倒な手順が欠かせないのです。

ちなみにリャマの乳は、牛乳にくらべて脂肪分と塩分が少ない、健康仕様となっています。塩分を摂りすぎる心配がないので、余分な塩分を尿と一緒に排出してしまう―水の無駄遣いを防げます。節水に妥協なし。「やはりリャマもラクダなんだな」と納得してしまいますね。

llama.jpg
Photo by - falco - chile-1038348_1280
穏やかな時期を狙うことも、子育てのコツ



感情あらわな暮らしぶり
Photo by - Peakpx - white llama
カメラ目線もお得意。いい笑顔です

野生下で暮らすリャマ達も、やはり感情を抑えきれないようですね。リャマには、群れを成し、その中で厳格な格付けを成す習性が備わっています。高位のリャマが低位のリャマへ唾を吐きかけ、上下関係をハッキリさせるのです。なのですが・・・。自分の立ち位置に納得いかないリャマは、高位へケンカを吹っ掛けます。負けじと唾を吐きかけ、胸を蹴り飛ばし、首に噛みつく。さらにはキリンのように首で殴りつける。一度火が付くと、なかなか激しいケンカを演じるのです。野生下でも感情豊か―怒りの感情が特に大きいようですね。



頼もしい労働者

時は4,000年前。ペルーに暮らす人々はリャマと共に過ごし、その労働力を当てにしていました。そう、リャマは世界でもっとも古い家畜なのです。食用、衣類用の繊維、防寒用の革、燃料用の糞。リャマのからだには捨てるところがありません。おまけに頑丈で病気知らず。わずかな食糧でもスクスク育ち、30sの荷物を30q持ち運ぶパワーも発揮します。物資として。労働者として。リャマは古くから人間を支え続けてくれました。ありがたい話ですね。

現代においても、コヨーテ対策にリャマを雇う牧場主は少なくありません。仕事をすぐ覚えてくれる物覚えの良さ、巨体を駆使した牽制が、ボディーガードに適しているのです。社交的な性格をしているため、羊の群れに紛れてもすぐ馴染めること。最長30歳と長命なので、代を経て守ってくれること。なにより、羊と同じ食事・待遇で満足してくれる手間のかからなさ。リャマを評価できる点はいくらでも見つかります。

実際の仕事ぶりも文句なし。リャマは犬に対して嫌悪感を覚えるらしく、発見すれば容赦はしません。警告の声を牧場主に届けつつ、自分はコヨーテを激しく攻め立てます。リャマ同士のケンカ同様、怒りを隠そうともしません。相手が逃げ腰だろうと、姿が見えなくなるまで追い回し続けます。反撃を受けようがお構いなし。身長差のおかげでコヨーテの攻撃が首元へ届きませんし、そもそもフワフワの毛が牙を通しません。リャマに見つかれば成す術なし。コヨーテには退却の手しか残されないのです。

リャマに弱点があるとすれば、あまりにも犬嫌いなので、牧羊犬も攻撃してしまう点でしょうか。社交性が高いので、時間をかければ家族にもなれるでしょうが・・・。なんにせよ、犬に対する警備意識は折り紙付き。優秀なガードマンには違いありませんね。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。