デカい!重い!されど苦にせず 頑健たるビッグホーン

2020年01月09日

デカい!重い!されど苦にせず 頑健たるビッグホーン

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どうあっても目を惹いてしまう巨大なツノ。ビッグホーンという安直な名前も素直にうなずけますね。そしてツノだけでなく、頑丈なからだも自慢です。高山地帯で自由に跳ね回る、天然アスリート達の闘いをご覧ください。



重さを苦にしないアスリート

たとえ全身の骨を合計したとしても、ツノの重量には及ばないのだとか。ビッグホーンのツノは最大15kgにも達する、もはや鈍器といって差し支えないシロモノです。

そんな巨大なツノを抱えながら、重さを感じさせない軽やかな足取りで山中を歩き回ります。平地であれば時速40q、傾斜があっても時速20qで走行可能。ほぼ90°の崖をよじ登ったり、川を泳いで渡ったり。ビッグホーンの運動能力は侮れません。ツノの巨大さに目を奪われがちですが、ツノの重さを気にも留めず、ごく普通に生活していることにも驚かされます。

ビッグホーンには大陸移動を果たした経歴があります。元々はシベリアに暮らしていたのですが、更新世の間に北米へ渡ったのです。
(※更新世 258万〜1万年前の時代 ほぼ氷河期)

そしてアメリカ大陸へ渡りきったビッグホーン達は繁殖を成し遂げ、現代まで世代を重ねてきたわけです。大陸横断もやってのけるとは恐れ入りました。ビッグホーンは先祖代々、頑丈なアスリートなのですね。

ちなみに現代では、天敵を避けるためか高山地帯へ身を落ち着けています。ビッグホーンは視覚に優れており、1マイル(1609m)先まで状況を把握できます。視界が開けた場所であれば、敵の発見は容易なのです。高地に身を置おけば地上の敵は丸見え。なるほど、理にかなっていますね。

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崖の上にて。高所恐怖症とは無縁のようです



ツノ負けしない頑丈な身体を

ビッグホーンは普段群れを成し、その中でリーダー争いを繰り返します。自慢のツノを突き合わせ、実力を示すのです。ただしケンカが起きるのは、ツノのサイズが近い相手とだけ。サイズ差があるとケンカは起こりません。ケンカはあくまでも自分の実力を計るため。相手を傷つける意思はないのです。ビッグホーンの優しさが伝わってきますよね。

ケンカは追いかけっこから始まります。挑戦者は相手をその気にさせようと、足へ噛みついたり、横っ腹へ体当たりしたり、軽い攻撃を加えます。たまらず相手が足を止めると、今度は1〜2頭分の距離を空け、にらみ合いを開始。これは互いに呼吸を整え、突き合うタイミングを計る時間です。激突の合図は、片方が両前足を振り上げることです。片方の動きに合わせ、もう片方も同様に両前足を振り上げます。そして互いに勢いをのせた一撃をぶつけるのです。

ツノをぶつける頻度はそう多くありません。1時間にせいぜい5回ほど。ただし一回の衝撃は相当なもので、もし人間が頭に受ければ、即死でしょうね。15kgの鈍器を全力で振り下ろすのですから、当たり前と言えば当たり前・・・。実際、渇いた木を叩きつけるような音が2q先にも届くのですから、衝撃のほどがわかります。

そんな強烈な一撃をもらうというのに、ビッグホーンはケガひとつ負いません。分厚い頭蓋骨のおかげで、脳へ衝撃が伝わる心配がないのです。さらに頭蓋骨と脊椎の間も分厚い腱で守られます。打撃をいくら受けようとも、首から下へダメージを残す心配もないわけですね。



ツノが大きければ、それを支える身体も大きくなるのが道理。ビッグホーンのオスは最大140kg、ロッキー産はさらに大きく230kgにも成長します。

それだけの巨体をつくるには、毎日たくさん食べるしかありません。ビッグホーンは草を食む日々を過ごします。積極的に休息をとることも、成長するためにエネルギーを節約する狙いがあるのでしょう。

ツノや骨を頑丈にするためには、草だけでは栄養素が足りません。そこでビッグホーンはミネラルを補おうと、鉱物を求め歩きます。わざわざ傾斜の厳しい崖をよじ登るのは、剥き出しになった岩塩や金属を口にするためだったのですね。

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休息中。それ以外の時間は食事に充てます。



もっと争え! オスを焚きつける思惑

立派なツノを持つのはオスだけ。そんなオス達がケンカの果てに求めるのは、つがう相手−メスを獲得することです。しかし簡単にメスを得られる状況はほとんどありません。というのもメスはオスを見ると逃げ出し、追いかけっこを始めるのです。しかもただ逃げるだけでなく、わざわざ別のオスのもとへ、追いかけてきたオスを誘導しようとします。そして2頭のオスを引き合わせ、自分を巡ってケンカするように仕向けるのです。

オス同士がケンカを始めると、メスはつかず離れずの位置で見物を決め込みます。勝負がつかない限り、オスから逃げる姿勢を変えることはありません。場合によっては3頭以上のオスが集まり、1対1対1の混沌とした闘いになることも。抜け駆けしようとメスを追いかけ、横からの突進で崖から落ちるオスが現れる始末です。

ケンカをヒートアップさせ、オス達の対応力を測っているのでしょうか?メスは自分の価値をよく理解し、それをひけらかしてオスを翻弄しているようです。小悪魔女子に踊らされる男性を見ているようで、なんとも複雑な気分になりますね。
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