ヒト慣れせず どこでもディンゴ

2020年01月04日

ヒト慣れせず どこでもディンゴ

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Photo by - Kim - Dingo
見た目としては柴犬に近いでしょうか?オーストラリアに広く棲息する中型犬、それがディンゴです。オオカミとは違い、ヒトとかかわりを持たずに暮らしてきました。そのためか、人間を困らせる事件を起こすこともしばしば。ディンゴのしたたかな生き様を見ていきましょう。



独力主義で生き残る

オオカミ同様、ディンゴは大昔から地上に存在していました。化石も数多く見つかっていますね。どうやら3400年前にはすでに生息していたようです。驚くことに、そのころから今に至るまで、ディンゴの姿はまったく変わっていません。これはディンゴが人為選択(家畜化、ペット化)されてこなかったということ。人間とかかわりを持たず、独自の力で生き抜いてきた証拠なのです。

それゆえに、ディンゴは自然界へ適した姿をしています。大きな耳で周りの状況を正確に測れますし、長く鋭く発達した牙で噛みつけば、獲物を容易に狩ることができます。オオカミにくらべると、口を大きく開けられるという特徴も。どんな巨大な獲物にも噛みつけるよう進化したのでしょう。

砂漠、草原、湿地、森林、海沿い・・・。ディンゴはどこにでも現れます。そしてその場所に棲息する生き物はどれも、ディンゴの餌食となるのです。

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Photo by - walesjacqueline - Dingo Wildlife Australia
厳しい砂漠もなんのその。獲物求めて走ります

コミュニケーションはあまり好まないのか、若いオスは単独を好むようです。ある研究によると、単独生活するディンゴは73%、ペアでの生活16%、3匹となると5%まで減少しました。群れることが珍しいのです。

とはいえ、10頭以上のディンゴがカンガルーを追い回す様子も目撃されています。年をとるほど、群れを成しやすくなるのだとか。経験を積むことで、獲物を効率的に得られる、という群れの利点に気付くのでしょうね。



特産品を愛しています 多彩な食事情

ディンゴは住む地域によって、食の好みが大きく分かれます。沿岸地域では海鳥を。中央の陸地ではトカゲを。肉食が難しい地域では果実や野菜も口にしますし、人間の住宅地付近では、生ごみを漁るディンゴが現れます。なんとまあ雑食なことで。その地域の味を愛するグルメ犬なのです。

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Photo by - Marc Tarlock - A dingo catches a fish
海沿いにも進出。お魚くわえたノライヌ・・・なんだかシュールです

ディンゴの狩りは長期戦。獲物のニオイを嗅ぎつけ、辛抱強く追跡します。一回の狩りに数時間かけることも珍しくありません。時にはヒナを抱えて動けない親鳥を狙ったり、ハリモグラを波打ち際へ誘導して溺れさせたり、知恵を発揮して狩りに臨むことも。季節や地形を利用するだなんて、なかなか頭が回りますね。

ちなみにディンゴは群れを成すと、狩りの成功率が単独時の3倍へ跳ね上がります。追いかけ役が獲物の疲労を誘い、頃合いを見て攻撃役が仕留める。これも1時間以上かかりますが、確実に大物を仕留められるため、狩りの効率は大幅アップ間違いなし。知恵者同士が集まるのですから、当然の成果なのでしょうね。特にカンガルーが繁殖する地域では、群れを成して効率よく狩りをこなしています。



人間とは相容れず されど・・・

悲しいことにディンゴ、害獣扱いを受ける動物だったりします。「生態系を狂わせるのでは」という懸念が主な理由でしょう。オーストラリアには動作の緩慢な動物が多く、そのどれもがディンゴの餌食となります。実際に数を減らし、絶滅を危惧される動物も少なくないのです。獲物が減れば、狩猟者が減るも道理。ディンゴほどの実力を備えない、ネコ科やタスマニアンデビルといった肉食獣も危機にさらされます。

生ごみを漁ったり放牧場を襲ったり。ディンゴは他にもたびたび人間を困らせるため、ヒトがディンゴへ抱く印象は良いものではありません。とはいえディンゴがいなくなると困るのも事実。オーストラリアで問題視されているカンガルー増えすぎ問題を、ディンゴが抑えてくれているからです。カンガルーが植物を食い尽くしてしまうと、植物による土壌浄化作用がはたらかなくなります。事実、ディンゴのいない地域では、土壌が劣化傾向にあるのです。

ディンゴが標的をカンガルーに絞ってくれれば、感謝することこの上なし。そこに人間とディンゴが良い関係を築くヒントがあるように感じました。そもそもディンゴはカンガルー狩りには精通していても、家畜相手の狩りまでは身につけていません。子牛24頭に対して4頭、羊68頭に対して8頭しか被害が及ばなかったという研究結果もあります。家畜襲撃はディンゴにとって骨の折れる行為ですから、しっかり対策してあげれば防げそうですね。

ディンゴがカンガルーだけを狩るようにうまく誘導してあげれば、人間にとっても望ましい環境を−ディンゴとの共存を望めるはず。ペットであっても野犬であっても、人間と犬の関係は良いものであってほしい。そう願わずにはいられません。
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