四角形のヒミツ ウォンバット

2019年12月27日

四角形のヒミツ ウォンバット

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Photo by -Christina Hendricks- wombat
オーストラリアには動作のゆるやかな動物がたくさん暮らしています。ウォンバットもそのひとつ。コアラに近しい動物とのことで、エネルギーをあまり使わないよう一日の大半を巣穴にこもって過ごします。このウォンバット、どうも四角形にこだわりを持っているようで・・・?



自然に逆らうカタチのウンチで自己主張

ウォンバットのウンチは四角形。自然界では珍しいカタチをしています。これはウンチを配置して、自分の領土を主張する目的があるようですね。丸いカタチだと、風に吹かれたり、他の動物が少しいじったり、些細なことで簡単に転がっていってしまいます。四角いカタチであれば、地面にどっしりと構え、その場所に留まることができるのです。

ウォンバットは1個2cmのウンチを、一晩で100個ほど排出します。それらを積み重ねることで、自分の領土を主張するのです。ここでも四角いカタチが役に立っていますね。積み重ねても崩れにくく、巨大な建造物をつくれますから。

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Photo by -Bjørn Christian Tørrissen- Certified Wombat Faeces
これがウォンバットのウンチ。ウ〜ン・・・たしかに四角形


四角いウンチはとても便利。にもかかわらず、このカタチを採用している動物はウォンバットくらいしかいません。それもそのはず。特別な腸内構造をもっていなければ、四角いカタチはつくりだせません。ウンチのタネは腸内で圧力をかけられ、だんだん丸みを帯びていくのが自然なのです。私たちのモノと同じように・・・。

一般的な動物の場合、ウンチのタネにかかる圧力は、腸内どこも均一です。同じ圧力がかかり続けるとカドが削り取られていき、楕円形に整っていきます。そして私たちの見慣れたカタチで外へ出てきます。

実はここまではウォンバットも同じ。まず大腸の前半部で楕円形のウンチをつくります。違うのは大腸の後半部から。楕円ウンチが後半部へ差し掛かると、だんだん複雑な圧力がかかるように。角を削らないよう、それでいて一つ一つが小さくなるよう、成形していくのです。

ウォンバットの腸は伸縮性が高く、ウンチのタネへ様々な力加減を与えられます。つまり力のかかり具合が変わるように腸を動かして、自然に反したカタチをつくりだしているのです。

私たち人間の周りには、四角い物質がたくさんありますよね。ですがこれは不自然そのもの。柔らかいものを四角く成形するか、硬いものを立方体に切り出すか。ひと手間かけなければ生み出せない形なのです。そんな複雑な作業を腸内でこなすウォンバット。四角形を作れる圧力のかけ方を解き明かすカギとして、商業利用も期待されているとか?



気の長いゆるやか動物

手間をかけてウンチをつくるためか、ウォンバットは代謝にかなりの時間を要します。食べてからウンチになるまで、最長で2週間もかかるのです。食べたものが半月も体の中にあるなんて・・・シュールな話ですよね。

この消化の悪さは、硬いものばかり食べることも影響していそうです。ウォンバットは草食性。その中でも、木の根や樹皮といった、他の動物が食べないような硬い部位を好みます。

実はウォンバット、げっ歯類と同じように、一生歯が伸び続ける宿命を背負っています。硬いものを好んで食べるのは、歯を適度に削りながら栄養を得る、一挙両得を狙っているのでしょう。



巣穴から敵を押し出せ

代謝とはエネルギーを生み出すこと。時間をかけすぎては、自由に扱えるエネルギーも少なくなります。実際、ウォンバットの生活はとてもなごやか。巣穴にこもって昼寝をするか、太陽の光を浴びてボーっとするか・・・なんとも省エネな生活ですね。

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Photo by -John- Wombat at Rest-03+
眠たげ・・・。こうして見ると、ウォンバット自身もずいぶん四角いですね


なごやかに過ごすには、天敵の存在が気がかりです。そこでウォンバットは、身体の一部を進化させて対抗策を獲得しました。さて、この“身体の一部”とはどこだと思いますか?ヒントは、冒頭から語ってきた“ウンチにも関わりある場所”です。

普段はゆったりと動くウォンバットも、ディンゴ(天敵のイヌ)を見つけると冷静ではいられません。巣穴めがけて一目散。時速40kmで走り抜けます。巣穴はトンネル構造になっていて、いくつの部屋につながっています。ところが入り口は1つだけ。巣穴に逃げ込んでしまえば、ウォンバットは入り口以外から襲われる心配がありません。

ここでウォンバットの“身体の一部”が活躍します。なんと“お尻”を盾にして天敵を追い払うのです。ウォンバットのお尻は軟骨がみっちり詰まっていて、とても硬い。しかも平たいカタチをしているため、巣穴をすっぽりとフタできます。尻尾がないことも相まって、噛みつく取っ掛かりがなくなるのです。お尻を盾にして身を守っているんですね。

「噛めないし、引っ掻いてもビクともしない」。ウォンバットのお尻に嫌気がさせば、天敵は勝手に去ってくれます。しつこい相手へ蹴りを入れることもありますが、基本的には無抵抗。攻撃されようとも、優れた盾があれば安心なのです。お尻と侮るなかれ。ウンチを出すだけでなく、天敵を追い返す頼もしい防具にもなってくれています。
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