ペット化への道 ゴールデンハムスター野生の顔

2019年12月24日

ペット化への道 ゴールデンハムスター野生の顔

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Photo by -Adamjennison111 at English Wikipedia
今回はペット代表の裏話をしましょう。寝室・トイレを分けるお行儀のよい動物。食べ物でほおをパンパンに膨らませ、一心不乱に回転車を回す愛らしい姿。ゴールデンハムスターのお話です。運動習慣や貯蓄グセを発揮するのは野生下でも同じこと。ところがペットには見られない一面は中々・・・。さて、隠れた一面を探ってみましょう。





・自然界でも相変わらず 快活な貯蓄家

別名シリアンハムスター。シリア−乾燥した岩地や砂地に暮らします。貯蓄グセを持っているのは、食べ物を見つけづらい寒気へ備えるため。他の動物が掘った巣穴を借りて、そこへせっせと食料を蓄えるのです。ちなみにゴールデンハムスター、一生をかけて1トンものエサを蓄えるとのこと。これはペットでの話なので、野生のゴールデンハムスターではもう少し少なくなるでしょう。だとしても、トンでもない話だと思いませんか?

これだけの食料を貯蓄するには、各地を巡って集めるしかありません。ゴールデンハムスターはエサを探しに、毎日8マイルも走り回るのです。1マイル1600mほどですから、8マイルで128000m。あの小さな身体で10km以上も走り回るとは。すさまじい運動量ですよね。どれだけ離れても巣穴へ戻ってこれる記憶力も侮れません。



・かわいい顔して苛烈な性格

食料をほお袋に詰めて持ち帰り、巣穴で吐き出して貯蓄する。この習性を活かすためにも、ゴールデンハムスターは植物食を好みます。それに加え、昆虫や自分より小さな動物を食べることも。野生化では肉食も珍しくないのです。さらに驚きなのが、平気で共食いすること。繁殖力の高さゆえに生まれてしまった、悲劇的な習性です・・・。

実はゴールデンハムスター、野生化ではまれな存在です。巣穴に潜んでいたり、すぐ走り去ってしまうことも理由でしょうが、一番の理由は天敵の多さにあります。100g程度の身体では、どんな動物からも身を守れません。襲われればそれまで。なす術なく喰われるしかありません。

ゴールデンハムスターは子孫を残すためにも、喰われる以上に繁殖する道を選びました。平均8〜10匹を出産し、最大で20匹もの子供を一度に産み落とすのです。しかし、この多産が共食いという悲劇を生み出しました。母親一匹では育てきれないのです。そこで行き着いたのが、子供を食べて、子育ての負担を減らす習性でした・・・。

苛烈な性格は母親だけにあらず。ゴールデンハムスターは縄張り意識がとても強く、時には侵入者を殺傷してしまいます。勝者は当然、敗者を共食いにするわけです。子供たちも例外ではありません。生後8週間で領土争いをはじめ、時には死に至る、激しいケンカを繰り広げます。温厚なペットハムスターからは想像できませんでしたが、実はかなり攻撃的な性格をしているのですね。



・苦難の果てに ペット化は辛かった

今でこそ世界中で愛されるゴールデンハムスターも、ペット化するまでには相当な苦労があったようです。その苦労を背負ってくれたのが、生物研究者・アロハニ氏でした。

1930年ごろ、ゴールデンハムスターは実験動物として注目を集めていました。ところが先述した通り、野生のゴールデンハムスターを見つけるのは大変なことです。そもそも、実験する度に捕獲するのは面倒でした。アロハニ氏はこの苦労を解消するために、ゴールデンハムスターの人工繁殖に乗り出します。ペット化はオマケ、というよりも当初は実験目的でしかなかったのです。それが今のハムスタービジネスにつながるのですから、面白いものですね。

アロハニ氏が用意したのはゴールデンハムスターの親子でした。母親1匹と、その子供11匹です。ところが飼育をはじめた矢先、苦難に見舞われます。母親が子供を食べてしまったのです。11匹いたはずの子供は、9匹まで減ってしまいました。

その事件以降、子供たちは順調に育っていったのですが、ある日また苦難と遭遇することになります。なんとゲージを噛み壊し、5匹が逃亡する事態に。ゲージが木製だったことが災いしました。ゴールデンハムスターの行動力はご存じの通り。ゲージが壊されるのは時間の問題だったのでしょう。9匹いたハムスターはさらに4匹まで減ってしまいます。

そして最大の事件が発生します。オスがメスを食べ、ついにオス1匹メス2匹まで数を減らしたのです。異様に大きくなったオスを見つけたとき、アロハニ氏の感じた絶望はどれほどのものだったでしょうか・・・。繁殖ではなく共食いを優先する。野生動物の気難しさに翻弄されるばかりです。

しかしアロハニ氏は諦めませんでした。最後の大勝負に出ます。干し草を詰めた、繁殖に適した特別な部屋を用意し、そこへ1匹のメスを住まわせたのです。メスは部屋をうろついたのち、干し草のベッドに落ち着きました。それを見たアロハニ氏はオスを投入。2匹だけをゲージに残すことで、ようやく交尾へ向かわせる−人工繁殖を達成できました。

最終的にこのペアは、150匹の子孫を残すことができました。アロハニ氏が付けていた観察日記も相まって、ゴールデンハムスターの繁殖方法が定着し、世界中にペットとして広まっていきます。もちろん繁殖が安定したおかげで、ゴールデンハムスターは実験にも貢献するようになります。人間医学へ多いなる貢献をもたらしたわけですね。

愛らしいペットハムスターが生まれるまでには紆余曲折があったこと。一人の研究者とゴールデンハムスターたちへ、敬意を覚えずにはいられません。
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