死んだフリで敵をだませ 演技派オポッサムの生存戦略

2018年06月07日

死んだフリで敵をだませ 演技派オポッサムの生存戦略

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アメリカで暮らす唯一の有袋類オポッサム
死んだフリで天敵をやり過ごす、演技派の動物です。
繁殖力の強さもオポッサムが持つ特徴のひとつ
一度にたくさんの子どもを育て、どんどん増えていきます。


・息するように死んだフリ

「クマにあったら死んだフリをしろ」
こんな迷信を聞いたことがあるでしょうか?
もし実行すれば大惨事になることは目に見えていますが、オポッサムはこの”死んだフリ”で自然界を生き抜いています。

オポッサムの天敵はジャッカルやサーバル
運動能力が高く、普通に逃げてもアッサリ狩られてしまうでしょう。
そこで編み出したのが”死んだフリ”です。
オポッサムを狙う動物は、新鮮な獲物を狙います。
動いている動物にしか興味がなく、自分で狩ったエサしか口にしません。
なので攻撃した時に反応がないと、「これは死んでいる、腐肉ではないか」と勘違いして興味を無くしてしまうのです。

オポッサムは恐怖や痛みを感じると失神状態に陥ります。
呼吸が浅くなり、噛まれたり引っかかれても無反応
半開きの目を覗き込めば、焦点の合わないうつろな目
口は歯茎がむき出しになり、舌がだらしなく垂れる
肛門から死んだ動物のニオイを出し、腐肉を想像させる

完ぺきな演技で天敵をだまし、自分から立ち去ってもらうのです。
天敵が立ち去った後も、オポッサムの死んだフリはしばらく続きます。
脳が強制的に失神状態を作り出しているので、死んだフリをするとすぐには解除できません。
4時間ほど経つとやっとからだを起こし、何事もなく歩き出すのです。

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Photo by - Tony Alter Follow-Opossum Playing Possum
迫真の死んだフリ かすかに呼吸するも、はた目にはわからない


・条件は不利だけど大繁殖
オポッサムは有袋類の仲間
コアラやカンガルー同様、子どもを袋の中で育てます。
有袋類は生存に不利なので、多くは絶滅していきました。
子どもが十分に大きくなってから産まれる胎盤動物にくらべ、未熟な状態で産まれてくる有袋動物は、生存率が低くなりがちなのです。
実際、アメリカ大陸で暮らす有袋類はオポッサムしかいません。

なぜオポッサムだけが生き残ってこれたのか
それは繁殖の早さに秘密がありました。
有袋類は子煩悩な動物が多く、年に1匹だけ、なんて育成ペースも珍しくありません。
子どもが未熟な状態で生まれてくるので、手厚い子育てが必要なのです。
ところがオポッサムは、120日もあれば自立してしまう繁殖回転の早い動物
寿命が1〜2年と短いため、成熟が早いのです。

1度に20匹の子を産みますが、半数以上は生き残れません。
未熟な状態で産まれるので、生後すぐ死んでしまう場合も多いのです。
生き残った子どもは袋の中で育て、大きくなると背中に乗せ、大事に育てていきます。

さらにオポッサム、妊娠期間がもっとも短い動物という強みがあります。
その期間はわずか12日
妊娠期間が短かければ、出産回数も増やせます。
一度の出産数と相まって、オポッサムはどんどん増えていったのです。


・これぞ進化 同じ種でもぜんぜん違う

オポッサムの中でも、よく話題になるのはキタオポッサムでしょう。
当記事の画像も、キタオポッサムのものです。
木の上で暮らすためか、尻尾がよく発達しています。
長くて力強い尻尾を枝に巻き付ければ、木登りなんて簡単なこと
時には尻尾で枝からぶら下がり、飛んでいる昆虫をキャッチします。
尻尾が発達しているのはオポッサム全般の特徴
キタオポッサムは特に尻尾を活かしているわけです。

人間の生活圏にやってくることも
飼い犬に驚き、死んだフリをするキタオポッサムがよく見られます。
強い者には逆らいませんが、獲物に対してはとても攻撃的です。
とりわけヘビには強く、噛まれようが巻き付かれようがおかまいなし
痛みに強く、しかもヘビ毒に耐性があるので、反撃されても気にしません。
オポッサムは自分の立ち位置を理解し、上手く立ち回れる動物なのです。

アメリカ大陸で暮らす有袋類はオポッサムだけですが、オポッサムだけでも100種類以上います。
キタオポッサムとはまるで違う、変わったオポッサムもたくさんいるのです。
たとえば水中で暮らし、ザリガニを主食とするオポッサム
後ろ脚に水かきがあり、硬い殻を噛み砕けるよう顎が発達しています。
オポッサムと言っても、住みかによって、まるで違う特徴を持つのです。

ネズミサイズから飼い猫サイズまで、大きさはまちまち
木の上で暮らすオポッサムが多いものの、地上の穴に潜んだり、水中で暮らしたり、生活場所は様々
雑食性なので、エサも住んでいる場所次第です。
昆虫や爬虫類を自分で狩るものもいれば、死骸や生ごみを漁るものも
果物や草を主に食べて暮らすオポッサムもいます。

地域ごとにからだを変化させ、立ち位置を守りながら暮らしていく
繁殖力が強いオポッサムは、適応力も抜群
様々な進化を見せてくれる動物でした。
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