暴食と絶食の使い分け ホッキョクグマの節約術

2016年06月02日

暴食と絶食の使い分け ホッキョクグマの節約術

maxpixel.freegreatpicture.com-Polar-Bear-Looking-Bear-Snow-Walking-Predator-529638.jpg
ホッキョクグマは陸上でもっとも大きな肉食動物
獲物をたらふく食べている、と思いきや、一年の大半はなにも食べません。
春にアザラシを食いだめし、どうにか来年を迎えるのです。
あの手この手でエネルギーを節約し、厳しい冬を乗り切るのです。


・生きる防寒具 歩き冬眠で断食生活

白くてフワッとした毛皮は防寒バッチリ、見た目以上に高性能です。
実はホッキョクグマの毛は透明、光の吸収具合で白く見えているだけ
もし白色だと光を反射してしまい、日の光から熱を得られません。
透明ならば日の光が肌まで到達し、からだを温められるのです。
しかもホッキョクグマの地肌は熱を吸収しやすい黒色
日の光を最大限利用できる色です。

毛皮は熱を吸収するだけでなく、熱を逃さない工夫も凝らしてあります。
毛の内側が空洞になっていて、そこへ暖かい空気を蓄えられます。
地肌から熱が漏れても、毛の中に閉じ込めておけるわけです。
ホッキョクグマの毛皮は熱しやすく冷めない、二段構えのコートなのです。

ホッキョクグマは絶食のスペシャリスト
最長8ヵ月、なにも食べず過ごした記録が残っています。
これはホッキョクグマの特技”歩き冬眠”のなせる業です。
ホッキョクグマは年中活動しますが、血液中に冬眠のトリガーを持ちます。
穴籠りをせずとも、いつでもからだを冬眠状態にできる特異体質なのです。

冬眠はエネルギーを節約できる反面、運動能力が落ちノロマになる諸刃の剣
ですがホッキョクグマには天敵がおらず、獲物も滅多に襲いません。
逃げたり追いかけたりしないので、運動できなくても問題はないのです。
ホッキョクグマはいつも冬眠し放題。歩き冬眠で省エネに努めています。


・アザラシ釣りの春 食い溜めが生死を分ける

春はアザラシ狩りの季節
流氷とともに殺到するアザラシを食いだめし、脂肪に換えて蓄えます。
来年の春を迎えるには、20〜50頭のアザラシが必要です。
生死に直結するアザラシの春、この時ばかりはホッキョクグマも歩く冬眠を解いて走り回ります。

アザラシはほとんど水の中で過ごし、滅多に陸へ上がりません。
泳ぎでは敵わないので、ホッキョクグマは釣りでアザラシを捕まえます。
釣りといっても、特に道具は使いません。
アザラシの息のニオイを嗅ぐと、ホッキョクグマは氷を掘り始めます。
アザラシが息継ぎしやすい穴を作り、出てきた瞬間ガブリとやるのです。
穴を掘ってジッと構えるホッキョクグマは、釣り人の姿そのものです。


・大陸横断スイマー 新天地で生き残れるか

北極に流れ着く流氷が年々減少し、訪れるアザラシも減っています。
その影響は大きく、餓死するホッキョクグマが増えるばかり。
この危機の中、生き残るため大陸横断するホッキョクグマが出てきました。
エサの豊富な北アメリカやロシアまで泳いで渡るのです。

GPSでホッキョクグマを追跡した結果、52頭中50頭が長距離を泳いだ、という研究報告があります。
最長記録は354km、10日間ほとんど休まず泳ぐホッキョクグマもいました。
実際に大陸横断に成功するホッキョクグマもおり、新天地で生き残る術を探っているのです。

その土地で出会ったヒグマと子をなすこともあります。
しかし運動能力が低いホッキョクグマでは、ヒグマとの競争に勝って血を残すのは困難です。
しかもアザラシを食べ慣れたからだでは、陸上動物の肉から十分なカロリーを得られません。

北極に居座れば餓死の危険、新天地へ向かえば強敵との競争、ホッキョクグマには厳しい時代です。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。