
大好きなユーカリを食べ、好きなだけ眠る
コアラの生活はなんとも羨ましく映ります。
しかしユーカリは本来、とても食べれたものではありません。
それはコアラも同じで、ユーカリを食べる苦労も多いのです。
毒を喰らって生きていく、コアラの生活を追っていきましょう。
・デメリット満載 動物泣かせのユーカリ
ユーカリの葉はとても硬く、栄養もほとんどありません。
消化できずエネルギーの足しにもならない、動物にとって最低な食べ物
これだけでも厄介なのに、さらにタンニンと青酸を含んでいます。
タンニンは苦味成分の1つで、歯を不味くする調味料です。
青酸は消化不良を起こす毒で、殺虫剤に使われるほどの致死性があります。
不味い、消化できない、栄養ないの三重苦
ユーカリは動物泣かせの葉っぱなのです。
・解毒に100時間 毒を喰う代償は重い
デメリット満載のユーカリをわざわざ食べる動物はいません。
そのことに目をつけたコアラは、毒を克服する進化を重ね、誰とも争わずに食べられるエサを得たのです。
しかしその代償はあまりに重く、1日に20時間の睡眠が必要になりました。
ユーカリは栄養の少ない葉
しかも解毒にエネルギーを使うので、わずかな栄養しか得られません。
コアラがひたすら眠るのは、エネルギーを節約するためだったのです。
ユーカリを食べる上で、もっとも重要なのは盲腸です。
コアラは盲腸が2mもあります。
ウシは75p、ウマは1mですから、異常な長さですね。
盲腸は微生物の住処で、草を発酵させたり、有害物質を解毒する場所
コアラは常に毒と闘っていますから、盲腸が巨大化するのも納得です。
ただ、コアラの盲腸でさえも、ユーカリの解毒は100時間かかります。
胃や腸は休憩中にいちばんよく働きますから、盲腸を働かせる意味でも、コアラは眠り続ける宿命にあるのです。
盲腸が巨大化する一方で、コアラは脳が縮んでしまいました。
体重に対する脳の重量が、ほかの動物の60%しかありません。
なるべくエネルギーを節約したいコアラにとって、エネルギー消費の激しい脳はなるべく小さいほうが都合よかったのでしょう。
脳が小さいせいか、コアラは頭を使うのがニガテ
枝からユーカリを採って食べることはできるのに、地面に落ちているユーカリはどうやって採っていいか分からなくなるほどです。
コアラはほとんど睡眠の生活ですから、からだが起きている時でも、脳は眠ったままなのかもしれませんね。
・母から子へ 糞を食べさせる儀式
忘れがちですが、コアラは有袋類。おなかの袋に子どもを入れて育てます。
この袋時代では、母が子に糞を食べさせる、大事な儀式が行われます。
バップと呼ばれるこの糞は、ユーカリが半分だけ消化された食べ物で、毒を分解する微生物を含みます。
幼いコアラは腸がまだ未熟なので、ユーカリをそのまま食べると毒にやられてしまいます。
なので母親がバップで微生物を分け与え、子どものユーカリ消化を手伝ってやるのです。
母親の袋から出るころには、バップからもらった微生物が腸盲腸に定着し、子どもだけでユーカリを消化できるようになります。
母から子へ贈られるバップは、ユーカリを克服する秘伝の食べ物なのです。
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