アリ喰うことに全力 オオアリクイの奇抜な進化

2016年05月31日

アリ喰うことに全力 オオアリクイの奇抜な進化

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アリを喰うからアリクイ、実にわかりやすい名前です。
オオアリクイはアリクイ最大種、南アメリカ大陸で暮らしています。
アリだけを食べて2mの巨体を維持するのはとても大変
効率の良い食事ルールを編み出し、エネルギーをやりくりしています。
奇抜な姿と食事が密接に関係している、オオアリクイの秘密に迫ります。


・見た目も内部も奇々怪々 アリ喰うために特殊な進化

顔・胴体・尻尾、どれも細長いオオアリクイ
アリを食べるよう進化した結果、この奇抜な姿にたどり着きました。
小さなアリを見つけるには、視覚よりも嗅覚に頼るほうが確実です。
あまり使わない目はどんどん小さくなり、よく使う鼻は長くなりました。
アリの巣に顔を突っ込んでも引っかからないよう、顔そのものも細長い。

顔だけでなく胴も細長いのは、木の上に潜むアリを食べるため。
後ろ脚で立ち上がれば、2mの高さに届きます。
大きくてフサフサな尻尾はホウキの役割
巣からこぼれたアリをかき集めて食べるのです。

見た目だけでなく、内部も奇抜な構造です。
オオアリクイの食事は丸呑みが基本。咀嚼そしゃくはしません。
そのため歯のない、アゴもほとんど動かせない、ストローのような頭蓋骨へ変化しました。

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オオアリクイの頭蓋骨 とても哺乳類には思えない

胃の構造もかなり特殊です。
最大の特徴は、胃酸がつくられないことでしょう。
ではどうやって消化するのかといえば、アリの持っているギ酸を使います。
オオアリクイにとって、アリはエサであり胃液でもあるのです。

しかも哺乳類の胃でありながら、鳥類がもつ砂のうと同じ働きをします。
硬い胃壁が激しく収縮し、食べた砂や土でアリをすりつぶすのです。
オオアリクイの胃は、エサを細かく砕く、歯の役割も兼ねています。


・ナマケモノのご親戚 巨大だけど低燃費

まったく似ていませんが、オオアリクイはナマケモノの親戚
ナマケモノは1日をほとんど動かず過ごす、低燃費を極めた動物です。
そのお仲間なのですから、オオアリクイもかなり低燃費
巨体をアリだけで維持するのですから、たしかに燃費は良いでしょう。

オオアリクイは平均体温が32℃しかありません。
人間は36.5℃前後ですから、かなりの低体温です。
動物は体温が高ければ高いほど、運動性も高まります。
しかし体温を高めるには、エネルギーを大量消費しなければなりません。
小さなアリをエサにするオオアリクイには、体温調整に回せるほどエネルギーの余裕はありません。
なので運動性を犠牲にして、エネルギーを節約しているのです。

運動が苦手ゆえ、時には悲劇に見舞われます。
南アメリカは高温乾燥の土地で、山火事が珍しくありません。
オオアリクイは素早く動けませんから、火事が起きても逃げられず、炎に飲まれてしまうのです。
天敵に見つかっても逃げられないナマケモノ同様、突然の危険に弱い点も「似た者同士」ですね。


・早食いで食べ過ぎず アリを喰うにはルールあり

オオアリクイのアリ消費量は1日20000匹
これだけの数を食べるには、時間も手間もかかります。
効率よく食べるためには”早食い”と”食べ過ぎない”ことが重要。
2つのルールは矛盾しているようで、意外に合理的です。

オオアリクイは超早食い。1回の食事を1分で終えます。
アリの巣(またはアリ塚)に顔を突っ込み、60pの長い舌を出し入れしてアリを飲み込みます。
舌の表面はとても粘着力が強く、舌に触れたアリはもはや逃げられません。
1分間で150回も舌を出し入れし、1000匹以上のアリを腹に収めるのです。

早食いの理由は”アリの反撃を避けるため”です。
食事を始めた直後は、突然の襲撃に混乱してアリは襲ってきません。
しかし1分も経てば、体勢を立て直した者から順に反撃し始めます。
1匹は小さくとも、集団攻撃を受ければ痛くて食事ところではありません。
アリが攻撃する兆しを見ると、オオアリクイはすぐ食事を切り上げます。
こうしてオオアリクイは、1日に200か所の巣で早食いを繰り返すのです。

”早食い”をすれば必然的に”食べ過ぎない”ルールも守れます。
オオアリクイは巨体ですから、もしアリの攻撃を受けても食事し続けるような進化をしていれば、食事のたびに1つのアリの巣が全滅するでしょう。
ところが実際は、1カ所で食べるアリの数はごくわずか
アリの巣が滅びる心配がないので、次回もまたエサにありつけるわけです。
生かさず殺さず、一度見つけたエサ場は何度も利用する
長い目で見れば、”食べ過ぎない”ことは食事の効率を良くできるのです。
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