威風堂々ヘラジカ グルメの秘訣はツノづくり

2015年10月31日

威風堂々ヘラジカ グルメの秘訣はツノづくり

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まるで頭から木が生えているよう
顔より大きなツノがヘラジカの自慢です。
年に1度抜け落ちるので、毎年ツノを育てるのに大忙し
立派なツノを育てるためにも、食事に妥協がありません。
ヘラジカはエサへ質も量も求める、グルメな動物なのです。


・威風堂々 ツノはたくましさの象徴

威厳あふれるヘラジカの姿は、人々にも好印象
スウェーデンやノルウェーでは、”森の王”と呼ばれ親しまれています。
アメリカやカナダでも、シンボルによく使われる人気者です。
ヘラジカは「強さ・賢さ・たくましさ」の象徴なのです。

シカ科は群れるのが一般的。全員で天敵を見つけ、全員で逃げ出します。
しかしヘラジカは群れる習性をもちません。
群れずとも、その巨体で肉食動物と渡り合えるのです。
ヘラジカは最大で800s、奈良のシカ10頭分もの体重に成長します。
この巨体を狩るのは一苦労ですから、肉食動物も手を出せません。

ただ、群れには病気予防の役割もあります。
仲間同士で毛皮を舐めあって、虫を取り除くのです。
ヘラジカも毛づくろいはしますが、ひとりでは限界があります。
巨体ゆえに、手入れの届かない個所も多いのです。

そこでヘラジカは、しょっちゅう水に潜るようになりました。
意外にも泳ぎが達者で、特に夏場はしょっちゅう水場へ訪れます。
水の中までは虫も追ってきませんし、毛皮にくっついた虫も洗い流せます。
実は泳ぐことも、シカ科の中では珍しいこと
群れないからこそ編み出せた、ヘラジカならではの習慣なのでしょう。


・期間限定 毎年ツノを作り替える

ヘラジカいちばんの特徴は、オスだけがもつ立派なツノ。
ふつうシカ科は、まっすぐあるいはS字に細いツノが生えます。
平たく、しかも枝分かれしたツノはヘラジカだけのもの
左右のツノを合わせると、幅200cm、総重量38sと圧巻です。

繁殖期になると、オスはライバルを相手に、ツノで優劣を競います。
巨大でかたちが良いツノほどケンカに有利で、メスを獲得しやすいのです。

繁殖期を終えると、ヘラジカのツノは抜け落ちてしまいます。
厳しい冬を越すには、エネルギーを喰うツノが邪魔になるのです。
抜け落ちたツノはタンパク質のかたまりなので、鳥やネズミのエサになったり、ヘラジカ自身が食べてエネルギーとなります。
再び春が訪れるとツノも成長し始め、3〜5か月で元の大きさになります。
そしてまた、繁殖期の秋を迎えるのです。

ほかのシカ科と同様に、ヘラジカのツノは皮膚が材料です。
頭から皮膚が盛り上がり、少しずつ長く平たく皮膚が成長していく
未完成のうちはツノに血管が通っており、たくさん栄養が送られます。
その栄養を使って皮膚が急成長、巨大なツノが完成するのです。
ツノが大きくなると血管が途切れ、今度はツノが硬くなっていきます。

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ツノが抜け落ちたヘラジカ


・食のこだわりはツノのため 量も質も妥協なし

立派なツノをつくるには、それだけ多くの栄養が必要です。
ヘラジカは1日32sも食べて暮らします。
しかも何でも食べるわけではなく、良質なエサを厳選します。
植物の消化があまり得意ではないので、繊維の少ない植物を求めるのです。

ヘラジカは背が高いので、地面に口をつけるのがニガテ
逆に高い場所には届くので、木の枝に生える新芽は狙い目です。
後ろ脚で立ち上がれば4mまで届きます。
これなら他の動物には届かない若葉を独占し放題です。

泳ぎ上手なヘラジカにとっては、水草も重要な栄養源になります。
地上の草にくらべると、水草は栄養価が低め
その代わりナトリウムが豊富で、これがツノの成長に役立つのです。
地上の草同様、やわらかい水草を厳選して食べています。
水際の草を食べる草食動物は珍しくありませんが、わざわざ潜って水草を食べるのはヘラジカだけです。

栄養不足のヘラジカは、ツノが小さくていびつに育ってしまいます。
ツノはどれだけ栄養を蓄えたか、指標になるのです。
巨大でかたちの良いツノは、メスにモテるアピールポイントになります。
たくさん食べるだけでなく質もこだわり続けるのは、とても大変なこと。
ヘラジカのツノから威厳を感じるのは、食に妥協を許さないストイックさの結晶だからなのでしょう。
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